ご挨拶

コロナ禍の第三波は収まる気配が無く、東京は再び緊急事態宣言が発令される状況になってしまいました。寒い日が続きます。寒さは免疫力を低下させる元凶ですので、皆様、どうぞお体の冷えには十分に気を付け、手洗いを励行し、用心してお過ごしください。皆様、新年あけましておめでとうございます。

ちなみに私の体調維持法は葛根湯とお酒。

葛根湯は体を芯から温める作用があるとされる漢方薬で、常にカバンに忍ばせています。風邪を発症した後に服用しても効果がないらしいので、少しでもゾクッと感じたら即座に服用するようにしています。

お酒は体を温めるのに即効性があります。
お酒・・・はい、大好きです(笑)。
が、飲み過ぎるとかえって免疫力を低下させると言われているので
「ほどほど」が大切ですね。
(と書きながら、いつも多めに飲んでしまいますが・・・)

広告から垣間見えた自動車業界の大きな変化

広告から垣間見えた自動車業界の大きな変化

自動車業界で働く550万人のメッセージを掲載した見開きの広告です。さて、お正月の新聞をめくっていて、少し驚いた広告を目にしました。

コロナ禍の影響で新車販売が伸び悩んでいる背景もあるでしょうが、私は、自動車業界が迎えている大きな変化を感じずにはいられませんでした。

自動運転もさることながら、各国で宣言が出されているガソリン車廃止の動き、これに呼応して続々と新規参入が続く新興EVメーカの台頭。特に中国では、わずか5年で50社のEVメーカが創業したと言われています。この動向の本質は地球温暖化問題を背景にしていると思います。空気が少しでもきれいになるのであれば、歓迎すべき動向だと思います。

以前に日産の初代リーフに乗っていた時期がありました。

街乗りこそ電気自動車らしいスムーズさで快適でしたが、高速道路を走行時にあれよあれよと言う間にバッテリが減ってしまう点、高速走行時のロードノイズがとても気になってしまう点、エアコンをオンにすると著しくバッテリ消費が増加してしまう点、そしてなにより満充電からの走行可能距離が短く電欠に怯えながら運転しなければならない点など、まだまだ改良が必要だと感じました。
しかし、これらの課題は今後の技術開発で十分に克服されるものと思います。

大きな変化には技術のブレイクスルーが重要

大きな変化には技術のブレイクスルーが重要

ソニーがベガという平面ブラウン管を発売した際には、トリニトロン方式の究極系がついに完成したと大変な賞賛をもって市場で受け入れられました。ベガはヒット商品として売れましたが、すぐに、「生得的に平面」である液晶に取って代わられたことは皆様ご承知の通りかと思います。長らくテレビの映像デバイスの主流はブラウン管でした。

このように旧来の技術に固執して改良にいそしんでも、やがては出自の異なるテクノロジーによって駆逐されてしまった事例は枚挙にいとまがないと思います。

このような世代交代ともいうべき変化は、技術ブレークスルーが基盤となっており、クリステンセンが定義した破壊的技術とはまた少し違う様相を呈しているようにも見えます。電気自動車で言えばバッテリー、テレビの映像デバイスで言えば液晶です。

モバイル通信のブレイクスルーはどうか?

モバイル通信のブレイクスルーはどうか?

翻ってモバイル通信の世界はどうでしょうか?

5Gのインフラ整備が現在急ピッチで進んでいますが、残念ながら「5Gを5Gたらしめる」真の革新であったはずのミリ波帯基地局のインフラ整備はほとんど進展していません。翻ってモバイル通信の世界はどうでしょうか?

そこには技術ブレークスルーが未だ出現していないと言えます。というよりも、そもそもミリ波の面的なエリア展開は困難であり、そのユースケースから見直しが必要ではないかと感じています。

現在の我が国のモバイル通信の旬の話題は、このような5Gテクノロジー云々よりも、通信料の話題です。政府が介入し、通信料を下げようとモバイル通信キャリアに対して様々なプレッシャーを与えています。

本来ならば企業間の競争ルールを整備すること(規制の引き締めや緩和など)が政府の役割のはずですから、通信料だけを眺めて、お上がキャリアに対してもっと通信料を安くせよ、と強制するのは少々乱暴で無責任な態度のように映ります。

我が国のケータイ通信料が高い理由を未成熟な競争状態にあるとするならば、それはそもそもルールのせいである、とも換言できます。いずれにせよ、この点はもっと活発な議論があってもよいと思います。

当ブログがかつて指摘した通り、通信料が下がると通信トラフィックは増えます。5Gは通信速度が速いので、5Gが普及するとより一層、通信トラフィックは「増えやすく」なります。通信トラフィックが増えれば、通信料は値上げの方向へプレッシャーがかかります。
通信トラフィックとは通信量のこと。

通信量と通信料、摂動関係にあるこの二つの「通信りょう」が今後の我が国のモバイル通信産業の行方を左右しはじめようとしています。

課題あるところに新しい技術の芽は息吹きます。

政府のケータイ通信料の値下げキャンペーンがモバイル通信分野での技術ブレークスルーを生むきっかけとなるかもしれません。その動向に注視しつつ、当ブログでは、今年も様々な方向からモバイル通信の未来を分析してみたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

    

著者

代表取締役社長 古川 浩

PicoCELA株式会社
代表取締役社長 古川 浩

NEC、九州大学教授を経て現職。九大在職中にPicoCELAを創業。
一貫して無線通信システムの研究開発ならびに事業化に従事。工学博士。